「自宅のトタン屋根が錆びてきた」「台風で一部が剥がれて雨漏りが心配」など、トタン屋根の劣化にお悩みではありませんか。専門業者に頼むと費用が高くなりそうで、自分で修理できないかと考える方も多いでしょう。
この記事では、トタン屋根の劣化症状に応じた具体的な修理方法を、DIYで行う場合と専門業者に依頼する場合の両面から徹底解説します。DIYの手順や必要な道具、費用を安く抑えるコツまで詳しくご紹介しますので、ご自宅の状況に合わせた最適な対処法を見つける手助けとなれば幸いです。
修理が必要なタイミング
以下の症状が見られた場合は、早急に修理を検討しましょう。
緊急度:高
- 雨漏りが発生している
- 屋根材に穴が開いている
- 強風で屋根材が剥がれた・飛散した
- 棟板金が浮いている・外れている
緊急度:中
- 全体的なサビの進行
- 塗装の剥がれが目立つ
- 屋根材のめくれや変形
- 軒先部分の劣化
緊急度:低
- 部分的な軽微なサビ
- 色褪せ
- 小さなキズ
【症状別】トタン屋根の応急処置と修理方法
トタン屋根に不具合を見つけたら、症状が軽いうちに早めに対処することが大切です。ここでは、代表的な症状別に自分でできる応急処置や修理方法を解説します。
コーキングや防水テープでの雨漏り補修
雨漏りは建物の躯体を傷める原因となる、最も緊急性の高いトラブルです。原因となっている穴や隙間が特定できれば、応急処置としてコーキング剤や防水補修テープで塞ぐことができます。
まず、補修箇所の汚れやサビをワイヤーブラシなどでしっかり落とし、乾燥させます。その後、隙間を埋めるようにコーキング剤を充填するか、防水補修テープを隙間なく貼り付けます。ただし、これらはあくまで一時的な処置と考え、後日、根本的な修理を検討しましょう。
サビや小さな穴のパテ・塗装による補修
トタン屋根の表面に発生したサビや、数ミリ程度の小さな穴は、DIYでの補修が比較的しやすい症状です。
- サビ落とし
ワイヤーブラシやスクレーパーを使って、補修箇所のサビを徹底的に除去します。 - 清掃
削り落としたサビや汚れをきれいに拭き取ります。 - パテ埋め
小さな穴やへこみには、屋根用の補修パテを埋め込み、ヘラで平らにならします。 - 塗装
パテが完全に乾いたら、サビ止め塗料を塗り、その上から仕上げのトタン用塗料を塗って保護します。
塗装まで行うことで、補修箇所の耐久性が高まり、再発を防げます。
浮いた釘の打ち直しとコーキング処理
経年劣化や振動で、トタンを固定している釘が浮いてくる場合があります。浮いた釘は雨漏りの直接的な原因になるため、見つけ次第対処が必要です。
浮いている釘をハンマーでしっかりと打ち直します。もし釘が錆びていたり、釘穴が広がってしまっていたりする場合は、少し太めのステンレス製傘釘に交換するのがおすすめです。打ち直した釘の頭には、防水性を高めるためにコーキング剤を少量塗っておくと良いでしょう。
台風後の剥がれや飛散への応急処置
台風や強風によってトタン屋根の一部が剥がれたり、棟板金(屋根の頂上部分を覆う板金)が飛散したりした場合は、さらなる被害を防ぐための応急処置が最優先です。
安全が確保できる状況であれば、剥がれた部分をブルーシートで覆い、土のうやレンガなどで固定します。ただし、高所での作業は大変危険です。無理だと感じたら、すぐに専門業者に連絡してください。あくまで二次被害を防ぐための応急処置であり、早急に専門家による点検と本格的な修理が必要です。
トタン屋根修理はDIY可能?業者依頼との比較
修理を考えたとき、多くの人が悩むのが「自分でやるか、業者に頼むか」という点です。ここでは、それぞれのメリット・デメリットと費用の違いを比較してみましょう。
DIYと業者依頼のメリット・デメリット
メリット | デメリット | |
DIY | ・費用を大幅に抑えられる ・自分のタイミングで作業できる |
・高所作業の危険が伴う ・失敗して症状を悪化させるリスクがある ・仕上がりの質や耐久性が劣る可能性がある ・必要な道具を揃える手間と費用がかかる |
業者依頼 | ・安全かつ確実に修理してもらえる ・専門的な知識と技術で高品質な仕上がりになる ・工事後の保証が付く場合がある ・原因の特定から修理まで一任できる |
・DIYに比べて費用が高額になる ・業者選びに手間がかかる ・悪徳業者に当たるリスクがある |
小さな穴埋めや釘の打ち直しなど、ごく部分的な補修であればDIYも可能ですが、雨漏りが広範囲に及んでいたり、屋根材の劣化が激しかったりする場合は、無理せず専門業者に依頼することをおすすめします。
【費用比較】DIYと業者依頼の料金目安
修理費用は、DIYと業者依頼で大きく異なります。
- DIYの場合
材料費のみで済むため、数千円から3万円程度が目安です。コーキング剤や補修テープ、塗料などの購入費用が主になります。 - 業者に依頼する場合
修理内容によって大きく変動しますが、部分的な補修で2万円~10万円程度が相場です。塗装や屋根全体の工事になると、数十万円から百万円以上かかることもあります。
トタン屋根の修理方法
DIYでは対応が難しい広範囲の劣化や損傷は、専門業者による本格的な工事が必要です。主な工事内容と費用相場をご紹介します。
1. 部分補修・応急処置
部分補修は一箇所あたり2万円~15万円程度の費用で済みます。小規模な損傷に対する迅速な対応が可能です。
補修方法 | 適用条件 | 費用相場 | 工期 |
ブルーシート張り | 応急処置 | 3~10万円 | 半日 |
防水テープ補修 | 小さな穴・ひび割れ | 5~8万円 | 半日 |
シーリング補修 | 継ぎ目の隙間 | 3~5万円 | 半日 |
サビ除去・部分塗装 | 軽微なサビ | 4~10万円 | 1日 |
板金部分交換 | 一部の破損 | 8~15万円 | 1~2日 |
棟板金交換 | 棟部分の損傷 | 10~20万円 | 1~2日 |
メリット
- 費用が安い
- 工期が短い
- 緊急時の対応が可能
デメリット
- 根本的な解決にならない場合がある
- 他の箇所の劣化が進む可能性
- 再発リスクが高い
2. 全体塗装
トタン屋根の塗装費用は20~50万円程度(足場代含む)かかります。屋根全体のサビを落としてから、サビ止め塗料と仕上げ塗料を塗る工事です。
塗装工程
- 高圧洗浄 – 汚れ・古い塗膜の除去
- ケレン作業 – サビの除去・表面処理
- サビ止め塗装 – 下塗り
- 中塗り – 1回目の仕上げ塗装
- 上塗り – 2回目の仕上げ塗装
塗料別費用比較(30坪住宅の場合)
塗料種類 | 費用相場 | 耐用年数 | 特徴 |
ウレタン塗料 | 25~30万円 | 5~7年 | 安価だが耐久性は低い |
シリコン塗料 | 29~34万円 | 7~10年 | コストパフォーマンスが良い |
フッ素塗料 | 50~60万円 | 12~15年 | 高価だが長期間メンテナンス不要 |
目的
- 美観の回復
- 防水性の向上
- 屋根材の保護
3. 重ね葺き工事(カバー工法)
古いトタンの上に防水シートを敷き、新たにガルバリウム鋼板を葺き重ねる方法です。ガルバリウム剛板を使用することによりサビ対策と長寿命化が期待できます。
元々のトタン屋根の上に新たな屋根を重ねることで空気の層ができるので、断熱効果や防音効果が高まるのも大きなメリットです。
ただし、トタン屋根の劣化が激しいと新しい屋根材をビスで固定できません。劣化がそれほどでもない場合に適した修理方法です。
工事工程
- 芯木補強 – 既存構造の強化
- 野地板張り – 新しい下地の設置
- ルーフィング張り – 防水シートの敷設
- 屋根材施工 – 新しい屋根材の設置
メリット
- 解体費用がかからない
- 工期が短い(3~7日)
- 工事中の雨漏りリスクが少ない
- 断熱性・遮音性の向上
デメリット
- 屋根重量の増加
推奨新屋根材
屋根材 | 特徴 | 耐用年数 |
ガルバリウム鋼板 | サビに強い、メンテナンス頻度が少ない | 20~30年 |
SGL鋼板 | ガルバリウムより更にサビに強い | 30年以上 |
4. 葺き替え工事
費用相場は60~200万円以上で、既存のトタン屋根をすべて撤去し、下地から新しく作り直して新しい屋根材を葺く工事です。
工事工程
- 既存屋根の撤去・処分
- 下地(野地板)の点検・交換
- ルーフィング張り
- 新しい屋根材の施工
費用内訳例(30坪住宅)
工事項目 | トタン→トタン | トタン→ガルバリウム |
既存屋根撤去・処分 | 15~20万円 | 15~20万円 |
野地板張り | 20~25万円 | 20~25万円 |
ルーフィング | 15~20万円 | 15~20万円 |
新屋根材・施工 | 30~40万円 | 40~60万円 |
足場代 | 15~25万円 | 15~25万円 |
諸経費 | 5~10万円 | 5~10万円 |
合計 | 100~140万円 | 110~160万円 |
適用条件
- 屋根の劣化が激しい場合
- 下地に問題がある場合
- 築20年以上でルーフィングの交換が必要な場合
トタン屋根の修理費用を安く抑える3つのコツ
高額になりがちな屋根修理ですが、工夫次第で費用負担を軽減できる場合があります。
①火災保険・自然災害保険の適用確認
台風、強風、大雪、雹(ひょう)などの自然災害によって屋根が破損した場合は、ご加入の火災保険が適用される可能性があります。
経年劣化は対象外ですが、災害が原因だと思われる場合は、修理を依頼する前に必ず保険会社に連絡して確認しましょう。
②複数の専門業者からの相見積もり
業者に修理を依頼する際は、必ず2~3社から相見積もりを取りましょう。
料金だけでなく、工事内容、使用する材料、保証の有無などを比較検討することで、適正価格で信頼できる業者を見つけやすくなります。
③自治体のリフォーム助成金・補助金の活用
お住まいの自治体によっては、住宅リフォームに対する助成金や補助金制度を設けている場合があります。遮熱性の高い塗料を使った塗装などが対象になることが多いです。
自治体のホームページを確認するか、「お住まいの市区町村名 リフォーム 助成金」で検索してみてください。
まとめ
トタン屋根の修理は、症状の早期発見と迅速な対応が何よりも重要です。小さなサビや釘の浮きであればDIYでの補修も可能ですが、高所作業には危険が伴うことを忘れないでください。少しでも不安を感じたり、雨漏りなどの深刻な症状が見られたりした場合は、無理をせずに専門業者に相談しましょう。
この記事でご紹介した症状別の対処法や費用相場、費用を抑えるコツを参考に、ご自宅のトタン屋根にとって最適な修理方法を選択し、大切なお住まいを長持ちさせてください。