スレート(カラーベスト)の修理方法|症状別の対処法を解説

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スレート屋根は日本で最も普及している屋根材のひとつですが、経年劣化によりさまざまな症状が現れます。

適切なメンテナンスを行わないと、雨漏りや建物の構造に影響を及ぼす可能性も。

本記事では、スレート屋根の劣化症状を症状別に分類し、それぞれに最適な修理方法をわかりやすく解説します。

まずは屋根の状態を確認!劣化症状セルフチェックリスト

スレート屋根の修理を検討する前に、まずは現在の劣化症状を正確に把握することが重要です。

症状の重要度によって、適切な対処法が変わってきます。

ただし、屋根に直接上がっての確認は非常に危険ですので、必ず専門業者に依頼しましょう

軽度の劣化症状|色あせ・コケ・カビの発生

色あせ

  • スレート表面の塗装が紫外線により退色している状態
  • 主に見た目の問題

コケ・カビの発生

  • 雨水を吸収したスレートの表面にコケが繁殖し、美観が低下している状態
  • 防水性能の低下を示すサイン

これらの症状は緊急性は低いものの、放置すると劣化が進行します。

定期的な清掃や塗装を検討するタイミングです。

補修が必要な劣化症状|ひび割れ(クラック)・欠け・ズレ

ひび割れ(クラック)

  • 雨水を吸収したスレートが乾燥・収縮を繰り返すことで発生
  • 小さなひび割れでも放置すると拡大する可能性がある

欠け

  • 台風などの飛来物や踏み割れにより発生
  • 破片が雨樋に詰まる可能性がある

ズレ

  • 強風や地震により屋根材がずれている状態
  • 防水性能に影響を及ぼす

これらの症状は早めの補修が必要です。

通常、スレートが割れただけでは即座に雨漏りすることはありませんが、放置すると防水紙への影響が懸念されます

緊急性の高い劣化症状|棟板金の浮き・釘抜け・雨漏り

棟板金の浮き・釘抜け

  • 屋根の頂点部分の板金が浮いている状態
  • 雨水の侵入経路となりやすい

雨漏り

  • 既に室内に雨水が侵入している状態
  • 建物構造への影響が深刻

これらの症状は緊急対応が必要です。

特に雨漏りが発生している場合は、応急処置を行いながら専門業者に早急に相談してください

スレート屋根の補修方法

軽度から中度の劣化症状に対しては、部分的な補修で対応することが可能です。

ここでは主要な4つの補修方法について詳しく説明します。

板金の釘を留めなおす

棟板金の釘が浮いている場合に行う補修方法です。

費用は数千円から数万円程度と安価で、短時間で完了します。

ただし、板金自体が劣化している場合は根本的な解決にならないため注意が必要です。

メリット

  • 施工が比較的簡単で短時間で完了
  • 費用が安価(数千円~数万円)
  • 雨水の侵入を防ぐ効果が高い

デメリット

  • 根本的な解決にならない場合がある
  • 板金自体が劣化している場合は効果が限定的
  • 定期的なメンテナンスが必要

板金と中の棟木を交換する

既存の板金を撤去し、棟木の状態を確認。必要に応じて棟木も交換し、新しい板金を設置します。

釘の留め直しでは対応できない場合に選ばれる補修方法です。

メリット

  • 根本的な解決が可能
  • 長期間の安心が得られる
  • 新しい材料により耐久性が向上

デメリット

  • 費用が高額になる傾向
  • 工期が長くなる
  • 足場が必要な場合がある

スレートの亀裂をコーキングする

ひび割れが小さい間にコーキング材や専用の補修材で補修する方法です。

ひび割れ部分の汚れや異物を丁寧に除去し、屋根材と同色のコーキング材を亀裂に充填して表面を平らに仕上げます。

費用は数万円程度で済みますが、将来的にシーリングが劣化する可能性があります。

定期的な点検と再補修が必要になることを理解しておきましょう。

 

メリット

  • 応急処置として効果的
  • 比較的安価(数万円程度)
  • 当面のリスクを軽減できる

デメリット

  • 将来的にシーリングが劣化すると再び剥がれる可能性がある
  • 大きなひび割れには効果が限定的
  • 定期的な点検・補修が必要

割れているスレートを交換する

破損したスレート屋根材を部分的に新しいものに取り替える方法。

1枚単位での交換が可能なため、ピンポイントで問題を解決できます。

メリット

  • 同じ系統の色で仕上げることで目立たなくなる
  • ピンポイントで問題箇所を解決
  • 比較的短期間で完了

デメリット

  • 新しいスレート屋根の取付けは釘打ちができないため、コーキングで接着する形となる
  • 解体時に外した釘穴がそのまま残るため、多少の雨漏りリスクも残る
  • 周囲の屋根材との色の違いが目立つ場合がある

業者に依頼する3つの本格修理

部分補修では対応できない場合や、屋根全体の劣化が進んでいる場合は、業者による本格的な修理が必要です。

以下の3つの工法から、屋根の状態に最適なものを選択します。

防水塗装

スレート屋根全体に塗装を施すことで防水性能を回復させる方法です。

比較的費用を抑えながら屋根全体をリフレッシュできます。

ただし、下地の状態が悪い場合は塗装では対応できないため、事前の診断が重要です。

メリット

  • 比較的費用が安価(50万円~100万円程度)
  • 美観を回復できる
  • 防水性能を向上させる
  • 工期が短い(1週間程度)

デメリット

  • 耐用年数が10年程度と短い
  • 下地の状態が悪い場合は適用できない
  • 定期的な塗り替えが必要
  • 不適切な屋根塗装により縁切り不足が発生する場合がある

葺き替え

既存のスレート屋根を完全に撤去し、新しい屋根材に交換するもっとも確実な方法です。

根本的な問題を解決できるため、長期間の安心を得られます。

 

メリット

  • 確実で長期的な解決策
  • 下地から全て新しくなる
  • 耐用年数が長い(30年程度)
  • 地震に強い軽量な屋根材を選択可能

デメリット

  • 費用が高額(100万円~200万円以上)
  • 工期が長い(2週間程度)
  • アスベストが含まれている場合は特別な処理が必要
  • 廃材処分費用がかかる

カバー工法

既存のスレート屋根の上に新しい屋根材を重ねて設置する工法です。


解体や撤去作業が不要なため、コスト削減・工期短縮・騒音の軽減といったメリットがあります。

スレート屋根に重ねる素材としては、多くの場合軽量で耐久性に優れたガルバリウム鋼板が使われます。

将来的なメンテナンス時に撤去作業が複雑になる点は考慮が必要ですが、費用対効果の高い選択肢として人気があります。

メリット

  • 葺き替えより費用が安価
  • 工期が短い
  • 廃材処分費用がかからない
  • 断熱性能が向上する

デメリット

  • 屋根の重量が増加する
  • 下地の状態が悪い場合は適用できない
  • 将来的なメンテナンス時に費用が高くなる可能性も
  • 屋根の高さが上がる

劣化したスレート屋根を放置するとどうなる?

スレート屋根の劣化症状を放置すると、以下のような深刻な問題が発生する可能性があります。

早期の対応により、これらのリスクを回避できます。

スレート本体の割れ・欠けからの浸水

スレート屋根がひび割れると、ひび割れ箇所から雨水が浸入するようになります。

浸入した雨水によってスレート自体の腐食が進行したり、雨水がスレート下の防水シートまで到達したりすると、雨漏りのリスクが高まってしまいます。

初期段階では小さなひび割れでも、放置すると拡大し、やがて大きな破損につながるので注意が必要です。

トラブルにつながる棟板金の劣化・釘の浮き

屋根の一番高い場所にある棟板金は雨水の侵入を防ぐ重要な部材です。

釘の浮きや板金の劣化を放置すると、強風時に板金が飛散する危険があります。

自分の家だけでなく、近隣への被害や人身事故につながる可能性もあるため、早急な対応が必要です。

縁切り不足による毛細管現象が雨漏りの原因に

スレート屋根は「すき間」がある構造で、屋根の内部に雨水が入り込んだ場合に排水する仕組みになっています。

塗装時に適切な縁切りを行わないと、このすき間が塞がれてしまいます。

その結果、毛細管現象により雨水が屋根内部に滞留し、雨漏りの原因となります。

スレート屋根のすき間を誤って埋めてしまうと、かえって雨漏りを誘発するため、専門知識を持つ業者への依頼が重要です。

まとめ

スレート屋根の修理は、劣化症状の程度に応じて適切な方法を選択することが重要です。

軽度の症状であれば部分補修で対応できますが、広範囲にわたる劣化や緊急性の高い症状の場合は、業者による本格的な修理が必要です。

特に注意すべきポイント

  • 定期点検の実施:5年ごとの専門業者による点検
  • 早期対応:軽微な症状でも放置せず早めの対処
  • 専門業者への相談:自己判断ではなく専門知識を持つ業者への相談
  • 適切な工法選択:費用と効果のバランスを考慮した工法選択


2025年現在、第二世代の耐用年数を迎えた屋根も少なくなく、見直し時期を迎えている住宅が多くあります。

お住まいのスレート屋根に気になる症状がある場合は、まず専門業者による点検を受けることをおすすめします。