ご自宅の屋根に使われているアスファルトシングルに、剥がれや浮きを見つけて不安に感じていませんか。 「このまま放置して雨漏りしたらどうしよう」「修理費用はいくらかかるのだろう」と心配になりますよね。 アスファルトシングルは、軽微な劣化であればご自身で修理(DIY)することも可能です。
この記事では、アスファルトシングルの特徴から、自分で修理できる症状の見極め方、具体的な修理方法、そして屋根を長持ちさせるためのメンテナンスのポイントまで分かりやすく解説します。
アスファルトシングルの特徴
まずは、ご自宅の屋根材であるアスファルトシングルがどのようなものか、基本的な特徴を理解しておきましょう。
アスファルトシングルのメリット
①軽量で耐震性に優れる
瓦屋根と比較すると約1/5の重量しかありません。 建物への負担が少なく、地震時の揺れを軽減できるため、耐震性を重視したい方に人気です。 万が一飛散しても、軽量なので人的被害のリスクが低いという安心感もあります。
②高い防水性・防音性
アスファルトの特性により、優れた防水性能を発揮します。 また、表面の天然石が緩衝材となり、雨音などの騒音を軽減する効果も期待できます。 金属屋根のような「雨音が気になる」という心配が少ないのも魅力です。
③加工が容易で施工しやすい
柔らかいシート状の素材なので、カッターやハサミで簡単に切断できます。 複雑な形状の屋根や曲面にも対応でき、デザインの自由度が高い屋根材といえるでしょう。
アスファルトシングルのデメリット
①表面の石粒が落ちてくる
施工後1年程度は、表面の石粒が剥がれ落ちることがあります。 これは想定された現象で性能に影響はありませんが、美観や雨樋の詰まりの原因となる可能性があります。
②カビやコケが発生しやすい
雨水が滞留しやすく乾きにくいため、カビやコケが発生しやすいというデメリットがあります。 特に湿度の高い地域では注意が必要で、定期的な清掃やメンテナンスが重要です。
③強風に弱い
主に接着剤で固定されているため、台風や強風で剥がれるリスクがあります。 特に急勾配の屋根は風を受ける面積が大きく、被害を受けやすい傾向にあります。
劣化の原因
アスファルトシングルの劣化は、主に以下のような原因で起こります。
風による影響
台風や強風により、接着力が不足している部分から剥がれや浮きが発生します。
紫外線や気候による劣化
長期間の紫外線により、アスファルト自体が劣化し、防水性能が低下していきます。 寒暖差が激しい地域では、接着剤の効果が短くなることもあります。
湿気やカビ・コケの影響
高温多湿な環境でカビやコケが発生すると、排水性が悪くなり接着力も低下します。
耐用年数
アスファルトシングルの耐用年数は、一般的に20年~30年と言われています。ただし、これは製品のグレードや立地環境、メンテナンスの状況によって大きく変わります。沿岸部や台風の多い地域では、劣化が早く進む傾向があります。
まずは確認!DIYで修理できる症状と業者依頼の判断基準
アスファルトシングルの劣化には、自分で対処できるものと専門業者に依頼すべきものがあります。 適切な判断をするために、それぞれの症状を理解しておきましょう。
自分で補修できる劣化のサイン
以下の症状であれば、DIYでの補修が可能な場合があります。
軽微な剥がれや浮き
1~2枚程度の軽い剥がれで、下地の防水シートに損傷がない場合は、専用の接着剤で補修できます。
表面の汚れやカビ・コケ
専用の洗浄剤を使った清掃であれば、自分で行うことも可能です。 ただし高圧洗浄は表面を傷める恐れがあるため、注意が必要になります。
石粒の軽微な剥がれ
表面の石粒が少し剥がれている程度なら、様子を見ながら経過観察で対応できます。
専門業者に依頼すべき劣化のサイン
以下の症状が見られる場合は、必ず専門業者に相談してください。
広範囲の剥がれや脱落
複数枚にわたって剥がれている場合や、完全に脱落している場合は危険です。 下地の防水シートまで損傷している可能性が高く、雨漏りのリスクがあります。
屋根材の破損や亀裂
アスファルトシングル自体に破損や亀裂が生じている場合は、交換が必要です。
雨漏りが発生している
室内に雨漏りが発生している場合は、緊急度の高い状況です。 下地材や構造材にまで影響が及んでいる可能性があります。
屋根全体の色褪せや劣化
屋根全体が著しく劣化している場合は、全面的な修理や葺き替えを検討する必要があります。
アスファルトシングルの修理方法
劣化の程度に応じて、適切な修理方法を選択することが重要です。 ここでは主な修理方法4つを詳しく解説します。
①塗装
表面の石粒が剥がれ、下地が露出している場合に有効な方法です。 アスファルトシングル専用の塗料を使用して、保護機能を回復させます。
塗装により防水性能が向上し、美観も回復できます。 ただし本体が劣化してからでは効果が限定的なので、劣化が進む前に実施することが重要です。 費用相場は1平方メートルあたり2,000~3,000円程度となります。
②剥がれ・浮きの補修
軽度な剥がれや浮きの場合は、部分的な補修で対応できます。 まず剥がれた周辺を清掃し、下地の防水シートの状態を確認。
専用の接着剤(シングルセメント)を使用して、剥がれた部分を貼り合わせます。 早期対応であれば、修理箇所がわからないほどきれいに仕上がります。 費用は1~3万円程度で、もっとも経済的な修理方法です。
③カバー工法
既存のアスファルトシングルの上から新しい屋根材を重ねる工法です。 解体費用や廃材処分費がかからないため、コストを抑えられます。 屋根が二重になることで防水性能が向上し、防音・断熱効果も高まるでしょう。
カバー工法では軽量で耐久性に優れたガルバリウム鋼板を使用する場合が多く、屋根全体の耐久性が大幅アップ
します。
ただし屋根重量が増加するため、建物の構造を事前に確認する必要があります。 費用相場は1平方メートルあたり7,000~10,000円程度です。
④葺き替え
既存の屋根材を完全に撤去し、新しい屋根材に交換する方法です。 下地材や構造材の状態も確認でき、最も根本的な修理といえます。
耐用年数を迎えた屋根や、広範囲に劣化が進んでいる場合に適用されます。 費用は最も高額になりますが、新築同様の性能を回復できます。 費用相場は1平方メートルあたり8,000~12,000円程度となります。
アスファルトシングルを長持ちさせるポイント
大切なご自宅の屋根を長く守るためには、日頃のメンテナンスが欠かせません。
定期点検を行う
年に1〜2回、特に台風シーズンや大雪の後などには、ご自身で地上から目視で点検する習慣をつけましょう。双眼鏡を使うと、屋根に登らなくてもある程度の状態を確認できます。剥がれや浮き、コケの発生など、小さな変化に早く気づくことが重要です。
部分補修を行う
点検で軽微な剥がれや浮きを見つけたら、症状が悪化する前に早めに部分補修を行いましょう。専用の接着剤で補修するだけでも、雨水の浸入を防ぎ、大規模な修理が必要になるのを遅らせることができます。
表面塗装を行う
新築または前回のメンテナンスから10年~15年が経過したら、専門業者による塗装メンテナンスを検討しましょう。表面を保護することで、紫外線や雨風による劣化の進行を抑え、アスファルトシングル本体の寿命を延ばすことにつながります。
まとめ
アスファルトシングルは、適切な時期に適切なメンテナンスを行うことで、長くその性能を維持できる屋根材です。 屋根の剥がれや浮きを発見したら、まずは慌てずに症状をよく観察し、DIYで対応できる範囲か、専門業者に依頼すべきかを見極めることが大切です。 軽微な補修はご自身でも可能ですが、少しでも不安があれば無理をせず、信頼できる専門業者に相談してください。早期の対応が、結果的に修理費用を抑え、ご自宅を雨漏りから守ることにつながります。